【将棋】初心者におすすめするベテラン振り飛車党6名を紹介

将棋

将棋の戦法は大きく分けて、「居飛車党」と「振り飛車党」で分かれます。
前回の記事では「若手振り飛車党」を紹介させてもらいましたが、
今回は「ベテラン振り飛車党」をご紹介させてもらいます。

将棋の歴史上、常に振り飛車党の実力者は存在しておりました。
さらに約50年前には振り飛車が一世風靡し、多くのタイトル獲得者が振り飛車党だった時代もあります。

そして近年でも、振り飛車の血を絶やさず、後世に残る活躍をし続けている棋士がいます。
これから紹介する6名は、生き残ることが難しいとされるプロ棋士を、20年以上振り飛車で戦い続けている方々です。

それぞれ一時代を築き、新しい戦法などを編み出し、振り飛車を進化させてきた功労者たちです。
ベテランならではの黄金期や個性的な一面をご紹介いたします。

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そもそも振り飛車とは?

振り飛車とは、将棋の戦型になります。
攻めで一番強力とされている駒「飛車」の位置を、開始位置から左側に移動させて戦う形です。

  • 真ん中(5筋)に置く事を「中飛車」
  • 6筋に置く事を「四間飛車」
  • 7筋に置く事を「三間飛車」
  • 8筋に置く事を「向い飛車」

と、言います。
飛車を真ん中より左側へ振るので「振り飛車」となります。
飛車を振ることで、開始位置のまま戦う「居飛車」とは、指し方が全く異なります。
その為、プロ棋士でもどちらも使いこなせる「オールラウンダー」の方は希少です。

将棋のルールなどが曖昧な方は、こちらの記事も観ると分かりやすいのでどうぞ。

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初心者おすすめのベテラン振り飛車党の6名

これから紹介する6名は年齢順になっております。

  1. 南 芳一 九段
  2. 中田 功 八段
  3. 杉本 昌隆 八段
  4. 藤井 猛 九段
  5. 鈴木 大介 九段
  6. 久保 利明 九段



南 芳一 九段

南 芳一 九段
みなみ よしかず
1963年6月8日(57歳)
大阪府岸和田市 出身
順位戦 C級2組(A級-9期)
今年度成績:5勝13敗(0.2777)

最近将棋を好きになった方や初心者の方は、あまりご存じないと思いますが、この南芳一九段はとんでもない方です。
1981年に四段昇段しプロ入り後、わずか5年(全て1期抜け)で順位戦最高峰であるA級に昇級しました。
全てのクラスを1期で抜けた、奇跡のような方なのです。
今やトップスターの藤井聡太二冠でさえ、昨年C級1組で1期抜けが出来ませんでした。
藤井聡太二冠と比べたら、どれだけ凄いか分かりやすいかと思います。
それだけ超実力者だった方です。
ちなみに2018年には藤井聡太二冠(当時五段)と対局し、230手に及ぶ大激戦を演じました。

もちろんタイトルも獲得しており、棋王2期、王将3期、棋聖2期の計7期の記録を持っています。
多くの棋士がタイトルを1期獲得するのが「夢」と語っているほど、タイトル獲得は難しいものです。
それを7期も獲得しているのです。
現役棋士の振り飛車党では、最多タイトル獲得者です。

冬の対局に強かったことで「冬将軍」と呼ばれたり、堅実で重い指し回しから「地蔵流」など、当時の将棋界の中心人物でした。

現在順位戦C級2組では2勝5敗と苦しんでいますが、直近の対局では実力者の八代七段相手に、鮮やかな勝利を収めております。
80~90年代を代表する振り飛車党の一人です。
得意戦法は三間飛車です。

南九段の棋譜はこちら


南 芳一九段 著書

中田 功 八段

中田 功 八段
なかた いさお
1967年7月27日(53歳)
福岡県福岡市 出身
順位戦 C級2組
今年度成績:3勝14敗(0.1764)

abema将棋チャンネルなどでも度々解説などで登場し、とても面白い解説をしてくれる中田功八段。
棋風も独特で「中田功XP」という指し回しを編み出したことでも有名です。
対局日を間違えたり少し抜けているところがあり、とても風変りな方です。
あだ名も「功」の音読み「コーヤン」と呼ばれています。

しかし彼も、今では数少ない10代で四段に昇段しプロ棋士になったスゴ腕の一人です。
振り飛車の偉人でもある、大山康晴十五世名人の門下生でもあります。
また弟子には、現A級棋士であり名人位3期を持つ佐藤天彦九段もいます。

今年度の成績はあまり良くありませんが、現役棋士歴35年の維持でまだまだ活躍してほしいところです。
得意戦法は三間飛車です。
コーヤン流三間飛車は本当に勉強し甲斐があります。

▼中田 功八段 著書

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杉本 昌隆 八段

杉本 昌隆 八段
すぎもと まさたか
1968年11月13日(52歳)
愛知県名古屋市 出身
順位戦 B級2組
今年度成績:8勝13敗(0.3809)

今やすっかり有名人となった杉本 昌隆八段。
藤井聡太二冠の師匠として様々なメディアにも出演し、将棋界の普及に努めています。

2019年ではC級1組で藤井聡太二冠と同級でしたが、見事B級2組に昇格を果たしました。
50歳を過ぎて、昇級するのは本当に凄いことです。

年度成績こそ負け越していますが、現在進行中のNHK杯決勝トーナメントでは、豊島竜王を含むA級棋士を3人続けて倒すなど絶好調。
次戦もA級棋士の稲葉陽八段のため、注目が集まっています。
https://www.shogi.or.jp/match/nhk/70/hon.html

藤井聡太二冠の教育面での指導や立ち振る舞いなど、国民的スターを育てた人間力がとても評価されています。
得意戦法は四間飛車、中飛車です。

▼杉本 昌隆八段 著書

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藤井 猛 九段

藤井 猛 九段
ふじい たけし
1970年9月29日(50歳)
群馬県沼田市 出身
順位戦 B級2組(A級:10期)
今年度成績:10勝12敗(0.4545)

abema将棋チャンネルやニコニコ動画などの解説で、大人気の藤井 猛九段。
そのワードセンスや小話、聞き手とのやりとりなどが絶妙で、将棋解説とは思えないほど笑えます。
将棋初心者の方は「解説上手な棋士」の認識かもしれませんが、実はとんでもなく凄い方です。
将棋の常識を覆したとも言われている戦法「藤井システム」の生みの親。

90年代には独特な指し回しと、圧倒的な強さで将棋界を席捲しました。
98年度の竜王戦では、挑戦者決定戦で羽生善治永世七冠を破って挑戦者となり、当時の竜王である谷川浩司十七世名人に4-0のストレートで勝ち、初のタイトルを獲得しました。
そこからさらに3期も防衛を果たすなど、長きに渡り頂点に君臨していました。

実は年代こそ羽生世代ではありますが、将棋と出会ったのが遅かったこともあり、遅咲きの棋士です。
その辺も人気の要因なのかもしれません。
得意戦法は四間飛車です。(藤井システム、ガジガジ流)

▼藤井 猛九段 著書
※四間飛車を勉強してみたい初心者の方には、本当におすすめの本です。

鈴木 大介 九段

鈴木 大介
すずき だいすけ
1974年7月11日(46歳)
東京都町田市 出身
順位戦 B級2組(A級:4期)
今年度成績:11勝14敗(0.4400)

振り飛車の御三家「藤井猛、鈴木大介、久保利明」として、名前を連ねる振り飛車党の重鎮の一人。
94年に四段昇段後、タイトル戦で最も位の高い「竜王戦」では、
6組から5年連続で昇級を果たし、1組に駆け上がりました。
(現在、藤井聡太二冠も同様に4年連続昇級中)

さらに99年にはNHK杯で優勝し、トップ棋士の仲間入りを果たしました。
タイトル戦も挑戦者として2回登場しましたが、いずれもあと一歩のところで届かず…。

棋風は圧倒的な研究量で新たな攻め筋を見つける、攻めの棋風です。
中飛車、三間飛車の従来の常識を覆した人物の一人でもあります。
04年には三間飛車の戦法の一つ「石田流」の新しい変化「新・石田流」を見つけ、棋界で新しい手を見つけた方に贈られる「升田幸三賞」を獲得してます。
得意戦法は中飛車、三間飛車です。
最近では、麻雀の「最強位」を獲得したことでも話題になっていました。

▼鈴木 大介九段 著書

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久保 利明 九段

久保 利明
くぼ としあき
1975年8月27日(45歳)
兵庫県加古川市 出身
順位戦 B級1組(A級:13期)
今年度成績:23勝17敗(0.5750)

振り飛車党で今最も活躍している棋士が、この久保利明九段です。
タイトルも計7期(棋王3期、王将4期)獲得しており、現役振り飛車棋士では最多獲得者です。
今では振り飛車党の代表格とも評されており、40代ながらまだまだ活躍が期待されています。

10代で四段昇段し、00年~07年には、幾度となくタイトル挑戦権を得るも、すべてがあの羽生善治永世七冠が壁となり、あと一歩に苦しんだ過去もあります。
しかし09年には念願のタイトル(棋王)を獲得しました。
さらに翌年には王将も獲得し、2冠となりました。(その他、棋戦優勝や受賞歴多数)

今年度の成績も対局数4位、勝数7位と常に上位に位置付けています。(1月現在)
昨年もタイトル戦(王座)の挑戦者になるなど、どの棋戦でも満遍なく結果を残しています。

棋風は振り飛車の理想形とも言われる、駒を綺麗に捌いていく戦い方です。
付いた呼び名は「捌きのアーティスト」。
本当に綺麗な振り飛車を指すので、初心者でも大変参考になる棋譜が多いです。
得意戦法は三間飛車です。(他の戦法も満遍なく指しますが…)
※久保九段公式twitter

▼久保 利明九段 著書



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まとめ

南 芳一 九段
→ 現役振り飛車党の最年長棋士。獲得タイトル7期は振り飛車棋士最多タイ。

中田 功 八段
→ 10代でプロ棋士になった。戦法「中田功XP」の生みの親。少しおっちょこちょい。

杉本 昌隆 八段
→ 藤井聡太二冠の師匠。50歳で昇級した急成長中の晩成棋士。

藤井 猛 九段
→ 人気NO.1のおもしろ解説者。しかし実は竜王3期獲得し、振り飛車の概念を覆した戦法「藤井システム」の作った凄い棋士。

鈴木 大介 九段
→ 振り飛車の御三家の一人。戦法「新・石田流」の生みの親。プロ棋士であり、プロ麻雀士でもある。

久保 利明 九段
→ 振り飛車党の代表を担う棋士。40代中盤にして第一線で活躍し続けている。獲得タイトル7期で振り飛車棋士最多タイ。


以上の6名を紹介させてもらいました。
棋界では、振り飛車党は「変わり者が多い」「指し回しが独特」とよく言われます。
どの先生方も解説や書籍、インタビューがとても面白いので、そこも注目するとより一層振り飛車が楽しくなると思います。

この6名の先生方がいたからこそ、脈々と振り飛車が受け継がれ、今も若手棋士が振り飛車で戦えています。

将棋の初心者でも振り飛車は、とても楽しく指せる戦型です。
これからも私と一緒に、振り飛車党の棋士を応援していきましょう。

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※下記、私が毎日視聴している将棋対局youtubeチャンネルです。
改めて感謝を申し上げます。

▼徹底解説!将棋の定跡

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